転職先の試用期間で最も注意したいのは、試用期間だから簡単に解雇できるわけではないことです。入社前に、試用期間の長さや給与、評価基準、延長の条件を労働条件通知書や雇用契約書で確認しましょう。入社後は、業務上の指示に従いながら、評価に関わる成果ややり取りを記録しておくと安心です。
転職先の試用期間で確認する5つの注意点
1. 試用期間の長さと延長条件
まず、試用期間がいつからいつまでなのか、延長される可能性があるのかを確認します。法律上、試用期間に一律の上限が定められているわけではありませんが、期間や延長を会社が自由に決めてよいという意味ではありません。
- 試用期間の開始日と終了日
- 本採用になるための条件
- 延長される場合の理由と期間
- 延長を何回まで行うのか
- 試用期間終了後に会社から通知があるのか
「場合によって延長する」とだけ書かれている場合は、どのような場合を指すのか、入社前に確認しておきましょう。求人票の説明と雇用契約書の内容が違うときは、契約書の署名や同意を急がず、会社へ説明を求めてください。
2. 試用期間中の給与・賞与・手当
試用期間中だけ給与が低くなる会社では、本採用後との違いを金額と条件で確認することが重要です。給与が下がること自体が直ちに違法とは限りませんが、最低賃金を下回ることはできません。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 基本給 | 試用期間中と本採用後の金額、固定残業代の有無 |
| 手当 | 通勤手当、資格手当、住宅手当などの支給条件 |
| 残業代 | 固定残業代に含まれる時間数と、超過分の扱い |
| 賞与・昇給 | 試用期間中の対象外期間や算定方法 |
| 給与改定 | 本採用時に自動で変わるのか、個別に決まるのか |
「試用期間中は給与が異なる」と書かれていても、具体的な金額が分からなければ判断できません。月給だけでなく、固定残業代や手当を含めた給与の内訳を確認しましょう。
3. 本採用の判断基準
本採用の判断基準が明確かどうかも、重要な注意点です。たとえば、勤務態度、業務の習得状況、報告・連絡・相談、協調性など、何を評価するのかを確認します。
ただし、「会社が総合的に判断する」とだけ記載され、具体的な基準がまったく示されない場合もあります。その場合は、直属の上司に次の点を質問しておくと、入社後の行動を決めやすくなります。
- 試用期間中に任される業務
- 最初の1か月、3か月などの目標
- 評価を行う担当者と時期
- 評価結果を本人に伝える方法
- 不足している点を改善する機会があるか
確認した内容は、メールなど記録に残る形で整理しておくと、後から認識の違いが起きにくくなります。
4. 解雇や本採用拒否の扱い
試用期間中でも、会社が自由に解雇できるわけではありません。試用期間は、採用後に適性や勤務状況を見て本採用するか判断する期間と考えられていますが、解雇には客観的に合理的な理由と、社会通念上相当といえることが必要です。
たとえば、重大な経歴詐称、正当な理由のない長期欠勤、業務上の適性が明らかに認められない場合などは、解雇や本採用拒否の理由になり得ます。しかし、単に上司と相性が合わない、会社の期待と少し違ったというだけで、直ちに適法となるとは限りません。
試用期間中の解雇は、法律上の「解雇」に当たります。入社から14日を超えて引き続き勤務している場合、原則として30日前の予告、または解雇予告手当が必要です。もっとも、解雇の理由が正当かどうかは別に判断されるため、予告手当を支払えばどのような解雇でもできるわけではありません。
5. 社会保険や雇用保険の加入時期
「試用期間中は社会保険に入れない」と説明された場合は、加入条件を確認してください。試用期間という名称だけで、健康保険や厚生年金、雇用保険の加入を一律に先送りできるわけではありません。
加入の可否は、勤務時間、勤務日数、雇用期間の見込み、会社の規模などの条件によって変わります。試用期間中も加入条件を満たす働き方であれば、入社日から加入対象となることがあります。自分が対象になるかは、雇用契約書の勤務条件と会社の説明を照らし合わせて確認しましょう。
労働条件通知書と雇用契約書で見る項目
入社前には、求人票だけでなく、会社から交付される労働条件通知書や雇用契約書を確認します。特に次の項目は、面接や求人票で聞いた内容と一致しているかを見比べてください。
- 契約期間と、期間の定めの有無
- 試用期間の期間と延長条件
- 就業場所と担当する業務
- 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇
- 賃金、固定残業代、締め日、支払日
- 退職や解雇に関する事項
- 社会保険と雇用保険の加入条件
試用期間の確認では、正社員として採用されたのか、試用期間だけ有期契約なのかも見落としやすい点です。試用期間中の契約期間が「3か月」などと書かれている場合、期間満了で本採用されない契約なのか、正社員採用の前提で設けた試用期間なのかを会社に確認してください。
試用期間中にしておきたいこと
入社後は、評価される業務と会社からの指示を確認し、できたことや改善したことを記録します。記録は、業務日誌やメールの保存など、無理なく続けられる方法で構いません。
- 上司に、試用期間中の目標と評価項目を確認する。
- 指示を受けた内容と期限をメモする。
- 業務の進捗、提出物、成果を記録する。
- 分からない点は放置せず、早めに質問する。
- 注意や指導を受けたら、改善した内容を記録する。
- 試用期間の終了前に、本採用の判断時期と結果の伝え方を確認する。
能力不足を指摘されたときは、感情的に反論するよりも、「どの業務の、どの点が不足しているのか」「いつまでに何を改善すればよいのか」を具体的に聞くことが大切です。改善の機会や指導があったかどうかは、本採用の判断や、後のトラブルを考えるうえでも重要になります。
求人票と実際の条件が違うときの注意点
求人票の内容と、入社時に示された労働条件が違う場合は、その場で納得したことにせず、違いを具体的に確認してください。特に、給与、勤務地、職種、勤務時間、雇用形態、試用期間の扱いが違う場合は、入社後の生活やキャリアに大きく影響します。
確認するときは、求人票や採用時のメールを保存したうえで、次のように質問します。
- 求人票では月給が〇円でしたが、試用期間中の給与はいくらですか。
- 試用期間終了後に給与や手当が変わる場合、変更後の条件を教えてください。
- 試用期間中の契約は、正社員の試用期間ですか、それとも有期契約ですか。
- 本採用の判断基準と、延長される場合の条件を確認したいです。
説明を受けたら、労働条件通知書や雇用契約書の記載にも反映されているか確認します。重要な条件が書面で確認できないままの場合は、署名する前に会社へ問い合わせましょう。
試用期間中に退職したい場合
試用期間中でも、労働者から退職を申し出ることはできます。ただし、無期労働契約か有期労働契約かによって、退職の扱いが異なるため、契約期間を確認してください。
無期労働契約では、原則として退職の申し出から一定期間が経過すると退職できます。一方、有期労働契約では、契約期間の途中で退職する場合に別の条件が関係することがあります。試用期間という名称だけで判断せず、契約書の「契約期間」を確認することが必要です。
退職を決めた場合は、直属の上司に退職の意思と希望日を伝え、会社の就業規則に定められた手続きも確認します。給与や貸与品、離職に関する書類についても、退職日までに確認しておきましょう。
試用期間の注意点を確認する順番
転職先の試用期間に不安がある場合は、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 労働条件通知書と雇用契約書で、雇用形態と契約期間を確認する。
- 試用期間の長さ、延長条件、本採用の判断基準を確認する。
- 試用期間中と本採用後の給与や手当を比較する。
- 社会保険・雇用保険の加入条件と開始時期を確認する。
- 入社後は、目標、指示、成果、指導内容を記録する。
転職先の試用期間で最初に確認すべきなのは、「いつまでの試用期間なのか」「本採用の条件は何か」「給与や契約期間はどうなっているか」です。試用期間中も労働契約上の保護がなくなるわけではないため、条件が曖昧なまま署名せず、書面と会社の説明を照らし合わせて判断しましょう。







